妙な経緯で館付きの撮影師になって早数年。
時計もカレンダーもこの洋館にはなく、正確な年数は正直わからない。
それどころか、館の外の情報すら入ってこない。
庭の植木の剪定や撮影師の仕事を日々こなしているだけである。
日が昇れば仕事を始め、日が落ちれば寝る。
その繰り返しである。
何年どころか、何十年ここにいるのかもしれない。
実は何度か屋敷を抜け出そうと試みているのだが、
敷地から出られないのだ。
「絶対、ここは人の居場所じゃないわな?」と気づいた時は、
時既に遅しというやつである。
ジタバタしても仕方ないので思いつく限りの試せる事は全て試した。
が、やはり出られない。
気がついたことはもう一つある。
何年いるのかわからないが、私自身は年をとってる自覚があるのだが、
女主人と初老の執事は一切変わらないのだ。
それに彼らが屋敷のどの部屋を自室にしているのかもわからない。
彼らは何者なのだろう。
水木しげるさんなら知ってるのだろうか?
ひょっとして、この屋敷から出ることができたとき、
世界は存在しているのだろうか?
そんなことまで考え始めた私であった。
今日も洋館の窓から外を見る女主人を撮影している。
もう何枚同じ様な写真を撮っただろうか。
一つだけハッキリしているのは、この館ではバッテリーの充電ができる。
つまり電気が来ているということだ。
model : cocoro
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使用機材:
Panasonic LUMIX S1R
SIGMA 50mm F1.4 DG HSM |Art
続編をありがとうございます(^^)
異世界のような雰囲気は、洋館のせいでしょうか。
それとも、cocoroさんの独特の雰囲気からでしょうか。
もしかして、HARQさん自身が・・・いえ、なんでもありません(^^;
そういう情景を思い起こさせる一連の写真が好きです。
次なる展開はあるのでしょうか? 楽しみです。
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撮影場所とモデルの持つ空気感の組み合わせですね(笑)
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