当たり前だが、光が強ければ、その影は深くなる。
カメラの性能が上がり、暗い場所でもノイズなく、隅々まで明るく写せるようになった今、「影」を主役に据えた作品が重要。
この作品は、伝統的な美意識である「陰翳礼讃」をコンセプトにした一枚である。
障子越しの柔らかな光
直射日光ではなく、障子を一枚通して部屋に届けられる柔らかい自然光を使う。
意識するのは、「光を当てる」ことではなく、「光の当たらない場所を作る」こと。
サイドから入る光が、モデルのフェイスラインや、浴衣に描かれた牡丹の立体感を静かに浮かび上がらせる。均一な光とは違って、光と影の境界線にこそ艶っぽさが宿る。
・ローキーの引き算
撮影は、浴衣の白地や肌のハイライトが白飛びしない質感を意識して、背景のシャドウを落とし込むように、露出をアンダーに振る。構図の中から余計な情報を「引き算」する露出。
影に何があるのか、観る人の想像力に委ねる余白を残す。
それこそが日本の古民家が持つ「美」かもしれない。
・和の情緒
そして、美しい陰影は、静かな物語を存在させる重要な要素となる。

